最高裁判所第二小法廷 昭和34(オ)1130 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人青木平三郎の上告理由第一点ないし第六点について。
原判決は、被上告人は昭和二二年中上告人に対し本件宅地を賃料を一坪当り一ヶ
月一〇円で賃貸したこと、上告人は、右宅地上に家屋を所有し理髪業を営んでいる
こと、右賃料は昭和二五年に二〇円、昭和二六年に二六円、昭和二八年に五〇円、
昭和二九年に六五円、昭和三〇年四月に一一〇円(いずれも一ヶ月一坪当りの金額)
に値上げされたこと、被上告人は昭和三〇年終頃上告人に対しさらに賃料増額の申
入をなしたこと、本件宅地の賃貸当時の時価(更地の価格、他に賃貸したときは略
その半額)が一坪当り約四〇〇円見当であつたが、前記値上請求当時は一坪当り十
数万円を唱えられていたこと、本件宅地を含む被上告人所有宅地の昭和二二年度の
地租税額が九四〇円五〇銭であつたところ、累年増額し昭和三〇年度は四万三八二
〇円、昭和三一年度は五万六八〇〇円となつたこと、本件土地がa駅前bビルの東
側にあり、近年a駅前はビルデイングが続々建設せられ繁華街となり、本件土地も
その影響を受けていること、をそれぞれ確定し、右確定事実に所掲の各鑑定人の鑑
定結果を総合して、前記増額請求時である昭和三〇年終頃の賃料額は、更地の時価
の半額に対する年五分の割合による金利をも勘案して、一ヶ月一坪当り四五〇円が
相当である旨を判示し、なお、本件宅地の附近の土地の賃料で、当時一ヶ月一坪約
九〇円のものがあることが認められるが、右事実のみによつては右認定を覆すに足
らない旨を説示し、よつて、被上告人の上告人に対する昭和三一年一月以降の本訴
賃料請求に対しては、右割合により計算した賃料から上告人が弁済供託した賃料を
控除した金額の限度において請求を認容したものであつて、原判決の右判断は正当
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である。本件土地の賃料は、前記のように昭和三〇年四月当事者合意の上一ケ月一
坪一一〇円に値上げされたものであつて、一ケ月一坪四五〇円の増額を認容された
本訴増額請求時である昭和三〇年未までの間の地価の騰貴が所論のように一割程度
にすぎず、また、昭和三一年度における本件土地の租税が昭和三〇年度に比べ前記
程度の増額に止まるとしても、地代決定に関係ある前記経済事情の変動の程度との
対比その他原判決確定の事実関係によれば、右昭和三〇年四月に増額を合意された
賃料は元来もつと高額に決定されるべきものであつたが、被上告人としては、上告
人の同意のえられる範囲内でとりあえず暫定的に右金額を合意したものであつて、
将来に亘り右金額をもつて本件土地の賃料の基準とする趣旨でなかつたことが認め
られるから、右の事実をもつて直ちに前記原判決の判断を違法とするに足らない。
被上告人が上告人供託の賃料を未払賃料全額の弁済である趣旨を諒承してこれを受
領したとの所論は、原審においてその主張がなく、原判決の確定しないところであ
るから、これをもつて原判決の違法をいうことはできない。その他原判決に所論の
違法がなく、所論は、原審の確定しない事実を前提とし、また、叙上と異る見解の
下に原判決を非難するものであつて、すべて採用できない。
よつて、民訴三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 池 田 克
裁判官 河 村 大 助
裁判官 奥 野 健 一
裁判官 山 田 作 之 助
裁判官 草 鹿 浅 之 介
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